西村隆志法律事務所の債権回収の流れとその方法
ご相談の流れと債権回収の流れや方法についてご説明致します。
債権の回収には、当事者間で、あくまで話合いで解決する任意的手段と、裁判所等が介入して強制力をもって解決する法的手段によるものがあります。
任意的手段も法的手段は、究極的な目的は債権を回収することですので、問題が生じた場面・相手方に応じて、適切な方法を選択することが必要です。
交渉、内容証明による催告
通常、債権回収は、債務者との任意の交渉からスタートします。任意の交渉段階でも弁護士は次のようなサポートができます。
●相手との交渉
当事者同士での交渉では前進しないときなど、弁護士が代理人として交渉することもできます。 弁護士が、当社の主張が成り立つのか否か、相手の言い分が法的に有意なものか、感情的なものにすぎないものかを判断しながら、交渉を進めていきます。
●内容証明郵便
口頭で、催告書で何度も債務者に請求してきたのに、無視されたり、断られた時には、内容証明郵便で請求・催告することを検討すべきです。
内容証明自体に法的に強制力や相手に返答する義務を負わせるものではありません。
しかし、内容証明郵便で催告すれば、法的手続きを採ってくるのではないかと心理的圧迫を感じて支払ってくる債務者はいます。相手の支払意思を生じさせる有用なツールです。
また、時効が中断したり、請求したという事実が証拠として残るという効果があります。催告書を見た、見ていない、言った、言わないという水掛け論を封じることができるのです。
●公正証書の作成
「契約書を作っていなかったが交渉の結果、契約書・確認書を作ることになった」、「毎月分割で支払ってもらうことになった」という場合、債権者と債務者との間で契約書が作成します。
さらに、公証人が作成する公正証書にすることも検討すべきでしょう。
金銭の支払いを内容とする公正証書は、裁判をしなくても強制執行できるという強い効力を持つことになり、債務者へも強い心理的圧迫を与えることになります。
弁護士は、契約書を作成したり、確認したりする活動をすることができます。また、公正証書作成にあたり、公証人との折衝や代理人として弁護士が活動することができます。
●訴え提起前の和解
債権者と債務者との話合いが成立している場合に、簡易裁判所の仲介で、裁判上の和解として和解調書を作成することができます。
公正証書と同様に、和解調書をもとに強制執行できるという強い効力を持つことになり、裁判所での手続きということで債務者へ強い心理的圧迫を与えることができます。
公正証書との違いは、公正証書は金銭の支払いを目的とするものに限られるのに対し、訴え提起前の和解ではそれに限られず、お金での弁済の代わりに債務者の持っている他の財産での弁済(代物弁済)にも使えるというメリットがあります。
●調停
当事者だけの話合いでは、前進が見られない場合には、簡易裁判所において、調停委員が間を取り持ってもらい話合いをするという調停の手続きがあります。
当事者双方の関係から裁判をし難い場合には便利ですし、訴訟と異なり、分割払いの定めを付けたり、保証人を付けたり、担保を付けたりといった柔軟な解決が可能というメリットがあります。また、調停が成立した場合の調停調書には強制執行できるという強い効力を有することになります。
法的手続き
債務者が債務の弁済に協力しないなど任意の交渉では進まないという場合には、法的手続を利用して債権の回収をしなければならないことになります。
●仮差押え・仮処分
債務者がどうしても債務を履行しない場合、訴訟することもやむを得ないことになります。
しかし、裁判をするとなると、早くて3か月、長くて数年という時間がかかります。
すると、その裁判の間に、債務者が財産を第三者に売却するなど処分したり、他の債権者に差押えなどにより奪われる可能性があります。
そこで、債務者の財産があり、債務者が財産を処分してしまう可能性がある場合に、その財産を処分することを止める手段として、仮差押えや仮処分を求める方法があります。
この方法は、あくまで本裁判で決着できるまで財産を確保するという仮のものでありますが、仮差押え・仮処分を受けたことにより債務者が任意的に利用に応じてくることがあるというメリットもあります。
もっとも、仮差押え・仮処分を行うことにより、裁判所に請求額に応じた保証金を供託する必要があるなどのデメリットもあります。
●支払督促
契約書などの証拠もあり、裁判をすれば、勝訴する確率が高いが、やはり裁判となれば、費用も時間もかかるので避けたいという場合、支払督促という手続きがあります。
支払督促は、簡易裁判所に債務者に「金銭を支払え」という「支払督促」という命令を出すように求めるものです。支払督促が確定すれば、支払督促によって強制執行することができることになります。
支払督促は、申し立てをするだけで証拠調べをしないという簡単さ、手続き費用が訴訟費用の半額という安さ、異議が出なければ約2か月で解決するという速さにメリットがあります。
しかし、債務者から異議が出れば、通常訴訟に移行するというデメリットがあります。
●(通常)訴訟
債務者が、何度請求しても、交渉しても支払う意思がないのであれば、債権を回収するために訴訟を起こさざるを得ないことがあります。
通常訴訟の裁判は、おおよそ次のように進んでいきます。
強制執行
判決など法的手続や強制執行を認諾した公正証書により支払いをすることが確定しているにもかかわらず、債務者が支払をしない場合には、強制執行により債権を回収する必要があります。
強制執行の対象となる財産は、原則として執行をする債権者が探索する必要があります。ですので、究極的には債務者の有している財産を探索できるかが重要な要素となります。
強制執行の対象となる財産は、土地・建物の不動産、壺・貴金属などの動産、債務者の第三者への債権などがあります。
速やかな執行に向けてご協力します。